戦後七十年、天皇ご夫妻のお悲しみ | 福岡県議会議員 古川忠後援会事務所 オフィシャルサイト

コラム

戦後七十年、天皇ご夫妻のお悲しみ

  天皇陛下御製    あまたなる命の失せし崖の下

              海深くして青く澄みたり

  皇后陛下御歌    いまはとて島果ての崖踏みけりし

              をみなの足裏(あうら)思へば悲し

 アメリカ軍に追い詰められた日本の婦人が次々に断崖から身を投げたサイパン島『バンザイクリフ』を終戦六十年の六月天皇陛下御夫妻が訪れた時の御製と皇后様の御歌である。群青の海に向かい、深々と頭を下げられた両陛下の後ろ姿に胸を熱くした人が多かったのではなかろうか。

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 そして今年は戦後七十年。両陛下は南海の孤島ペリリュー島にも慰霊の旅に出かけられた。昭和十九年九月、島には島民約九百人、日本の守備隊約一万人が駐留。米軍の上陸が迫った時、島民は巻添えを避ける為、パラオ本島に避難させられたがその折、島民の多くが「日本軍と共に戦いたい」と申し出たという。日本の『統治』が、欧米の『占領』とは全く違っていたことを窺い知るエピソードのひとつでもある。ともあれ日本軍一万人、米兵も千六百人余が戦死して島は陥落した。特攻で散った方々も含め戦争を直接経験した人は今や九十歳前後、次の十年を考えると今年は戦争と平和を考える最も重要な年だった。マスコミも前半は、貴重な証言等を扱っていたが、後半は、あの安保法案をめぐる与野党の見苦しいドタバタ劇で、冷静に厳粛に戦争を考える雰囲気は吹き飛んでしまった。

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 何もかも一緒に詰め込んだ法案が、いささか杜撰なことは国会答弁のモタモタぶりを見ても明らか。防衛大臣でさえ答弁に窮するこの法案を国会議員の何人が本当に理解しているのかも疑問である。まして民主党など野党は『戦争法案』のワンフレーズで同じ質問を長々と繰り返すのみ。

『今の国際情勢の中で、何が本当に危険なのか。国を守る為にはどうしたらいいか』の本質的な議論こそ、国民は聞きたかったのではないか。党内の異論に憚かって、敢えて本質的な問題を避けた民主党。安倍権勢を恐れて思考が停止した自民党。非武装中立か、軍備拡充かの半世紀前の議論に後戻りしただけである。

 天皇皇后両陛下のあの慟哭の後姿を想い返して欲しい。国を守るのに党派の利害などない筈である。

古川 忠

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