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コラム

この国のかたち

 先の世界大戦中、戦車隊に配属されていた作家司馬遼太郎さんは、戦争の末期、最新鋭車として配備された戦車の巨大砲頭がまるでブリキの様な代物であったことに愕然とする。 本来戦車は、砲弾をも弾く装甲板こそが命の兵器なのである。 やたら砲頭の大きい戦車で格好を整え、数だけ合せて「さあ突撃しろ」という軍中枢部に心底疑念を抱いたのである。『私は濃い草色に塗られた三式戦車の鉄を削りながら(こういうものを作らせた高級軍人たちは、いったい本気の愛国心を持っているのだろうか)と心の冷える感じをもった』と小品「戦車の壁の中で」で書いている。軍務官僚たちの保身のために、何十万もの日本兵のあらた命を散らせたのである。

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 これは年金保険行政の杜撰さが表面化した三年前のコラムで紹介したのだが、今また書くはめになった。このほど明らかになった主婦年金のいいかげんな救済通達。年金保険庁の怠慢と主婦のうっかりミスによる支払い空白期間を支給するというもの。 膨大な公金が投じられるこの決定を課長通達でこっそり済まそうという魂胆。しかもミスター年金ともてはやされた前厚労省が主導していたというから何をかいわんや。 現大臣が全く知らなかったというあきれた落ちまでついては、開いた口が塞がらない。

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 国民の血税をいったい何とおもっているのか。げに官僚の放漫さとその組織の感覚麻痺には、司馬さんならずとも驚愕する。軍務官僚があの大戦の犠牲を拡大したと同様、今高級官僚と国会が日本を停滞と凋落に導いている。  期待していた新政権はもはや官僚組織にとりこまれ、野党はただ不毛な追及を繰り返す。ころころ変わる日本の空き缶総理、などと管さん一人を責める徒労はやめて、みんなでこの国のかたちをもう一度真剣に考えるときである。

                                (平成23年3月)

古川 忠

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