「小泉劇場の功罪」 | 福岡県議会議員 古川忠後援会事務所 オフィシャルサイト

コラム

「小泉劇場の功罪」

政治の軽さを天下に晒しながら、小泉劇場は終わりました。

 もちろん私は改革には大賛成です。新聞記者として、また県議会議員として、今の政治や行政の無駄や不公正をいやと言う程見てきました。戦ってもきました。又、特に既得権益にまみれた身内の抵抗勢力の、陰湿で頑強な妨害にあって、一人苦戦している総理の姿を気の毒にさえ思っていました。小泉さんが、苦し紛れに、本来改革派であるはずの民主党に、何度もエールを送っていたのを、民主党の皆さんは見逃したのか、それとも敢えて無視してしまったのでしょうか。

 今回の選挙結果は思いがけないものになりましたが、これが、長い目で見て、日本の政治にとっていいかどうかは、はなはだ疑問です。 圧倒多数となった与党勢力。強大な権力は、往往にして自らの立場や権益を守ることに走り、やがて腐敗の道へと堕ちていくからです。まして、ぽっと出の議員達にとって、先生と言われる居心地の良さにどっぷりと浸かってしまっては、改革など望むべくもありません。

 巨大な官僚組織、それを必死に守ろうとする役人たち、はたまた実力派議員達に立ち向かうには、並々ならぬ覚悟と信念がなくてはなりません。これは私自身が県議会与党会派の中で実際に見、感じてきたところだからです。権力の近くにいる者は常にその自覚と緊張をもたなくてはならないのです。この一種浮かれたような選挙で生まれた今度の国会の構成は、本当に危ういものがある気がしてなりません。与野党が拮抗した緊張感の中で、より良い改革が進むことを国民は望んでいたのではないでしょうか。その意味で、民主党の大敗は政治の改革をむしろ遅らせてしまうのではないかと危惧しているところです。

 そもそも、今回の解散は重要な問題点がありました。衆議院で可決した議案を参議院が否決したからと言って、衆議院を解散するのには無理がある、との議論は前からありましたが、そのことの本当の議論はおこなわれずじまいでした。第一の問題は、衆議院のチェック機能を果たすべき参議院の機能を失わせる。いわゆる二院制の崩壊を事実上認めたことになります。これはこれで、参議院のだらしなさとあいまって由々しきことではありますが、もう一つ、議会制民主主義の根幹を揺るがす大問題が潜んでいるのです。

 みなさんは解散のきっかけであり、選挙の最大の争点とされた郵政民営化について、その法案を読んだことがあるでしょうか?そうです。普通の国民はそれぞれの仕事に追われて、そんな暇はありませんし、専門の知識もありません。だからこそ議員を選挙で選び、専門的に慎重に議論し判断することを委ねているのです。その議員達が何度も議案を読み、百時間を超す議論を重ねた上での結論が、総理の意に沿わないからと言って、ただの一度も法案を見たことすらない国民に、郵政民営化賛成か反対かと聞くのには相当の無理と矛盾があります。

 第二の問題は、代議員制を真向から否定したことです。と同時に、政治とはかくも簡単に国民を錯覚させることが出来るものかと、恐ろしくさえ感じます。無論、国民の多くが、今の閉塞状況の中でなんらかの改革を望み、官僚達の特権や無駄使いに腹を立てていたことは同感です。しかし、郵政民営化を、もしくはその法案をどう思うかと問われても、だから其の為に私たちは議員を選んでいるのではないかとしか言いようが無い筈です。

 そこでさらに大きな問題は、国民の多くがそもそも国会議員の仕事ぶりや、その姿勢を信じてはいなかったのではないかということです。小泉総理は、国民がそれら議員を今やあまり信用していないことをすっかり見抜いていたのかもしれません。でなければ、選挙制度や代議員制度そのものを全部否定するような暴挙に国民は疑問を感じる筈です。実際、解散をした途端、あるいは選挙後に急に賛成に豹変した議員達は、自ら代議員制の意味と責任を感じているのでしょうか?

 民主主義は最後は多数決で決まりますが、少数意見こそ大事にしなければ成り立ちません。反対した議員達は、彼らを支持した人たちの代弁者として、あくまでも主張を貫くべきです。国民の声は現実の獲得議席数はともかく、45%位は反対だったのですから。選挙の結果、国民の声だからとか、勝手な言い訳をせずに、あなたを支持した人もまた大切な国民であることを忘れてもらっては、その方たちは浮かぶ瀬もありますまい。再度論陣を張り、負けたら、その時は堂々と従えばいいじゃないですか。しかし、恐らく彼らはそうはしますまい。国民は又しても、国会議員を自分たちの代弁者とは認めなくなるだけです。かくして、この様な数々の誤りが繰り返されていくうちに、日本が取り返しのつかない方向に行かなければいいのですが・・・。

                               (平成17年9月)

古川 忠

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